予防歯科に通う目的とは?
予防歯科とは、歯周病や虫歯といった歯を失う主な原因を未然に防ぐため、歯科医師や歯科衛生士による「検査」「ケア」「指導」が行われる分野です。
日本は予防歯科への考え方が不足しており、欧米諸国と比べて劣っています。例えば、80歳時に20本の歯を保持することが望ましいとされますが、スウェーデンなどの歯科先進国では多くの人々がこれを実現しています。対照的に、日本の達成率は約51.6%にとどまっています(令和4年歯科疾患実態調査)。
現在、日本では80歳の人々の半数が多くの歯を失い、それによって食事や会話に支障をきたしています。日本は長寿国の一つでありながら、長く生きても歯が不足することで栄養摂取が難しくなり、健康な生活が阻害されてしまう可能性があります。
そのため、近年では日本でも歯が問題を起こす前に、歯科医院でのケアを通じて健康な歯を保つ「予防歯科」の重要性が認識されつつあります。
痛みが出た時だけ歯医者を受診するアプローチでは、大切な自然歯を守ることは難しいです。歯は一度失われると、元の状態には戻りません。定期的な歯科通院と予防意識の向上によって、健康な歯を長く保つことが可能です。
「8020運動」とは、日本歯科医師会が提唱している、高齢者が80歳の時点で少なくとも20本の自分の歯を保つことを目指す取り組みです。つまり、80歳になっても少なくとも20本以上の歯を維持することを目標としています。これは、高齢者の健康と生活の質を向上させるための取り組みであり、歯の健康状態を維持することがなぜ重要かを強調しています。
具体的な活動としては、定期的な健診・ケアの提供、健康的な食事や口腔ケアの指導などが含まれます。また、虫歯や歯周病などの口腔疾患の予防に取り組む一環として、適切な歯みがきや食事習慣の見直しも重要なポイントです。
8020運動は、高齢者の口腔健康を重視し、良好な歯の状態を保つことによって、食事の摂取やコミュニケーション、自己のイメージなど多くの側面にポジティブな影響をもたらすことを目指しています。高齢者が自分の歯を保つことは、咀嚼能力や発音の改善、そして自信の向上につながるとされています。
この取り組みは、高齢者の歯科健診やケアが十分に行われ、歯の健康を維持するための予防的なアプローチが重要であることを示しています。歯科医療の進歩により、虫歯や歯周病の予防や治療が可能であるため、定期的な歯科健診やケアを受けることが大切です。
8020運動は健康寿命の延伸と高齢者の生活の質の向上に貢献する重要な取り組みとなっています。